パーティー(1/4)/園花

年の差レズビアン長編

レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第44話)

 園花から愛良にドライブに誘ったのは初めてだった。
 愛良はすぐにマンションの下まで来てくれた。

「園花さんからドライブの誘いなんて珍しいよね。どこ行きたいの? 楽しみ」
「気分転換に付き合ってもらおうかなと思って」

 園花はとくに何かあてがあったわけではなく、ほんとうにただ気分転換がしたかったからダメもとで誘った。今日のようなときに運転免許をもっていたら良かったなと園花はよく思った。愛良はひと言返事で来てくれたからうれしかった。
 愛良はいつもの水色のスキニージーンズに黒のノースリーブ、それに黒のレースガウンをはおっていて、相変わらず可愛くてセクシーでよく似合っていた。

「まだ18時だから、園花さんが行きたいところどこでも行けるよ。ショッピング? ご飯?走る?」
「ありがとう。じゃあ、前に連れてってもらった高台の公園に行きたいな」
「あ、いいかも。朝見みはらし公園ね。いこいこ。夜景見にいこ」

 その公園は住宅地の真ん中の小高い丘の上にあって、公園の外周をぐるっと歩いてまわると、360度全方位の景色が楽しめた。以前、愛良に連れて行ってもらったときは夕方だったが、夜に行くときれいな夜景が見れるとあの日の愛良が教えてくれた。思いつきの目的地に、愛良がひと言でOKしてくれて園花はうれしかった。
 愛良が何か食べ物と飲み物を買い出しして、ちょっとしたピクニック気分で盛り上がろうと言い出して、園花は賛成した。すぐに幹線沿いに大型スーパーを見つけて立ち寄った。
 出来合いのお弁当やおかずでもと惣菜コーナーに向かうと、ちょうどスーパーのタイムセールに差しかかっていて、人だかりができていた。

「ローストビーフサラダとサーモンのマリネ、どう? 愛良ちゃん」
「いいね。おにぎりとサンドイッチどっちがいいかな」
「おにぎり!」

 残ったら二人で分けてお持ち帰りしようということで、結局、ローストビーフサラダ、サーモンマリネ、おにぎり、唐揚げ、粗挽きソーセージ、ポテトサラダなどなど色々買い込んだ。
 お店を出てすぐのところにみたらし団子のお店があって、それも5本追加して二人で笑った。そのあと、公園の目と鼻の先のところでコンビニエンスストアで、愛良がせっかくの気分転換だしとチューハイを一本追加してくれた。

「私、普段飲まないの。お茶で乾杯したげるね」
「ありがとう」

 愛良がいう通り夜景スポットで有名らしく、公園の駐車場はほぼ埋まっていて、園花の期待が一気に高まった。
 駐車場から公園のてっぺんまで長い長い階段があったが、それを上りきると夜景が待っていると思うと自然と足取りは軽かった。
 最上段まで上り終えて、愛良と二人で「せーの」で振り返った。

「わーきれい!」

 絶景だった。とにかくきれいだった。園花は目を丸くした。住宅地の真ん中なのに高台にあるせいか空気も澄んでいて、なんだか気分転換には贅沢すぎる場所に思えた。

「愛良ちゃん、ありがとね。すっごいきれいだね」
「天気が良くてよかったよね! 遠くまでよく見えるし、私も久しぶりに来たけどやっぱり絶景だった」
「一周ぐるっとまわってもいい?」
「まわろう、まわろう」

 公園の外周を囲んだ遊歩道の外側には、夜景を楽しむたくさんのカップルの姿があった。思わず愛良と顔を見合わせた。愛良が先にクスっと笑って園花もつられて笑った。
 公園の真ん中の広場には二十歳くらいの男女のグループが、花火を楽しんで騒いでいる姿が見えた。

 スーパーの袋は愛良が持ってくれたが、すぐ傍で熱愛するカップルの邪魔にならないように、なるべく袋の音を立てないように気をつけた。
 遊歩道を一周すると、愛良がベンチが一つ空いているのを見つけて、絡めていた腕をくいっと引っぱって教えてくれた。

「タイミングよく空いたね。愛良ちゃんグッジョブ」
「さすがに草むらでサーモンマリネのパックつついてたら虫入るよね」
「ていうか、見えないし」

 そう言って園花は思わず吹き出した。

 思いつきの“気分転換パーティー”は二人でこっそり盛り上がった。

「かんぱーい」

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