官能小説(短編)/フリマアプリのレズなストーカーにクリトリスをしごかれて……
断捨離やちょっとしたショッピングにはスマホの“フリマアプリ”が便利である。
売りたい物は画像を撮って値段を入力するだけだし、欲しいものは新品も誰かのおさがりもスマホの操作一つで家まで届く。
梱包したり発送する手間はあるけれど、出かけついでコンビニに持ち込めば匿名で個人売買が完結できてしまうのが手軽で良い。
海咲(みさき)の場合、衣類や化粧品、香水などは飽きたら迷わず出品し、新品では買えない廃盤になった腕時計や非売品のノベルティ、またコミックなどは中古で購入する。
誰かの出品物をただ眺めているだけでもちょっとした発見があって楽しいし、有名ブランドの高価な口紅やアイシャドウがお試し価格でゲットできるのもうれしい。
ただ、取引相手がどこの誰なのか分からないうえ、悪趣味なストーカーまがいの男性利用者も混じっているため、海咲のように女性の場合には注意も必要だった——
「ねえ、覚えてる? “マサキ”からディオールのリップにプラダのポーチ、パープルルチルのブレスレット、それにコミックの詰め合わせを買った“さくら”だよ。イケメン過ぎて、色々買ってたら会いたくなって、来ちゃった」
美桜里(みおり)は透き通ったブラウンの瞳を輝かせて興奮気味にそう言うと、不敵な笑みを浮かべる。
“マサキ”は海咲がフリマアプリで使っているニックネームで、美桜里は“さくら”と名乗っていたらしい。
らしいというのは、すでに三百品以上も取引しているせいで特定の誰かを覚えていないためである。
「数日前にシューズも買って、今日履いて来ようか迷ったんだよね。でもほら、海咲はいつも発送のんびりでしょ。不在だと受け取れないし。それに直接会って買ってもいいかなって」
そう言うと美桜里は唇を絡めてきた。
すでにお互いベッドの中で裸だった。
海咲はそういえばいくつも買ってくれたリピーターがいたことを思い出した。
「でも私、匿名で送ったよね!?」
海咲は美桜里を睨みつけると体をよじらせてその唇を逃れる。
「リップは普通郵便だったよ。それにGoogleマップで調べたらマンションもあったし」
美桜里の右手の指先が海咲のクリトリスにまとわりついてくる。
「ちょっとやめてよ、触らないでよ! 誰なの一体」
「美桜里は本名よ。それにさっき色目使ってきたの海咲じゃない。やっと会えたね! 大好き。クリトリス、シゴいてあげる。続きしよ」
不意にクリトリスに卑猥な刺激が走った。
「色目なんて使ってねえよ! もうやめ、おい! ねえっちょっと、やめてって、ねえ! もう、ダメだって……ッ」
海咲は身じろぎをして抵抗したが美桜里の指が止まる気配はない。
次第に美桜里の顔がぼやけていく。
「海咲ったらヨダレ垂らしちゃって可愛い」
(だめ、イクッ!——)