年下上司のペニス

マニアック

官能小説(短編)/十歳年下——職場のイケメン上司の秘密

「で、どうするの? どうしたいの?」

 今夜で三度目の食事だった。

 十歳年下で職場では上司だが、会社を一歩出ると直美の方がリードする立場だ。ようするに年上好きの男で、名前は優斗という。

 直美の目の前で管理職に上がって、仕事はできぱきこなすタイプのやり手だが、こと女に関して丸っきりセンスがない。

 食事に出かけるようになったきっかけは、優斗のおそらく“ノリ”だった。ノリと勢いで愛想程度に直美に声をかけたところ、直美が即答でそれに乗ったような形だった。どうして直美なのか、気があるのか無いのか、単純に本当にただの愛想だったのか、まるで何も分からなかった。

 初日は焼き鳥屋で過ごして、帰りは自宅まで車で送ってもらった。酒が飲めない上に車を所有していたから、直美には好都合だったが、何だか悪い気がして降り際に昼休憩に買ったお菓子をあげた。優斗は嬉しそうにそれを受け取ったが、それは直美の期待した展開ではなかった。

 前回は焼肉屋に誘われた。駅前のそこそこ値が張る美味しいと評判のお店で、優斗がおごる言い出して悪い気がしたが、一歩も引かないところをあまりしつこく押し問答するのもおかしな気がして甘えた。優斗はそういうところは男気があって、そこらの割り勘男より格好よかった。

 帰りは前と同様に車で自宅まで送ってもらった。ただ渡すものが無かったから「どうしよう?」と尋ねたら、「何もいらないっす」と笑っていた。直美は何も欲しがらない優斗にちょっとがっかりした。優斗があまりにも好青年だったから、直美は車を降り際に、助手席の窓から声をかけた。

「本当に帰るよ? 私、もう帰っちゃうよ? いいの?」とウィンクをして尋ねてやった。その日も優斗は「はい、おやすみなさい」と笑って見送ってくれた。優斗の態度に好青年の鑑を見たが、直美には期待はずれだった。ひと言でいうと真面目過ぎた。直美はそのまま家に帰って、いつものようにシャワーの準備をした。

 でもそれからすぐに電話が鳴った。電話の相手は優斗だ。

「もしもし、優斗? どうしたの?」

「やっぱりもう少しドライブしたいなって」

 直美はため息が出た。アルコールも入っていたし、すでにシャワーの準備をしていた。髪も化粧も入浴準備に入っていた。今更また準備するのは不可能だった。

「優斗、ごめんね。今夜はもうだめ。またにしよ。おやすみ」

 直美は電話を切ってすぐに大きなため息が出た。

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