官能小説(短編)/相思相愛—— でも一途な彼がエロ過ぎて
「ほら、菜美、これ見て」
「そ、そんな」
それは大好きな和希とデートで植物園を歩いていた最中のことだった。菜美は突然、和希に手を引っ張られて売店の裏側の木陰に連れていかれた。
「何よ突然」
「菜美、今俺に見せつけたよね?」
「見せつけたって何を?」
「お尻振って誘惑した?」
「そ、そんなこと、しないよ」
お互い愛し合っていた。交際は和希の強引な告白に、菜美が半ば折れる形で始まったが、付き合い始めてすぐに相思相愛の仲に発展した。
和希は優しくていつでも思いやりが感じられたし、男気にあふれていてルックスも悪くなかった。仕事はごく普通の会社勤めだったが、真面目にコツコツ頑張っている姿に好感がもてた。
菜美がただ一つ気になったのは、ぞっこんで一途なうえエロいことだった。
それまで付き合ってきた男は、街で美人や露出の激しいファッションの女性とすれ違う時、チラ見するような素振りを見せたが、和希に限ってそれはなかった。その視線はつねに風景または菜美に向けられていた。
ほかにもセックスが激しかった。セックスは私生活のあらゆる時間帯とタイミングに唐突に始まって、長い時には一時間半以上にも及んだ。体おかしくなるほど感じる刺激的かつ甘いセックスで、体のあらゆる部分を徹底的に愛撫され、意識がもうろうとする程逝かされた。また俗にいう大人の玩具を嫌い、指と舌、ペニスによる生身の愛撫にこだわりがあった。
和希のこだわりは菜美の体にも及び、例えば化粧品はいいものを使えとか、スキンケアはこれ、陰毛は剃るな、あるいはいっしょにヨガやストレッチをして体を鍛えつつより良いセックス、より良い体位を探求しようなどという、人によっては抵抗を感じるものも含まれた。
何より驚いたのは、外出先で所かまわず菜美の体に欲情し始め、びっくりするほどペニスを勃起させて迫ってくることだった。
「これ触ってくれる? ほら」
「そんな、私、誘惑してないし、こんな場所でやめようよ」
「無理。菜美がお尻を振ったせいで、もう我慢できない。どうしよう」
「そんなこと言われても、ここ植物園だよ?」
「じゃあ公衆トイレか、一度駐車場に戻って車でくわえてくれる?」
「え、本気で言ってる?」
「もちろん。あ、ほら、あそこにトイレあるじゃん。あそこでお願い」
和希が指さした方角に目をやると、男女共用の小さな公衆トイレがあった。菜美はさすがにどうしようかと戸惑った。
「くわえるって、フェラするってことでしょ?」
「うん、もう我慢できない。精子出さないと菜美に手が出そう」
「いつもいきなり過ぎる」