官能小説(短編)/23歳イケメンと内緒のオチンチンごっこ
「うちの実家も津市ですよ」
「へえ、そうなんだ。じゃあ三重県の話しならできるかもね」
久美は小さな工務店の経理と電話受けを担当していた。
求人情報誌にはアットホームな会社だと書いてあったが、もともと社長夫婦だけで切り盛りをしていて、他にごく少数の大工などの職人が出入りするだけの小さな工務店だった。
夕方5時を回ると建築現場から作業終了の連絡が入り、その日の作業工程を写した画像がメールで届いた。久美はいつもそれを日報ソフトに移して、簡単な入力作業を終えてから退勤した。職人は久美が退勤してから一時間くらい後に帰社するのが常だったため、久美が顔を合わせる機会はほとんどなかった。
「でもうちの周り、ほんと何も無いんですよ。コンビニと国道があるくらいで、あとは何も無いんです」
「私は都会より海が見えたり、自然に囲まれてる方が幸せだけどなあ」
久美が大工の見習いの誠也と知り合ったのは、会社の忘年会が終わった後、誠也を自宅まで送り届けた車の中だった。
誠也は日焼けしたちょっと和顔のイケメンで、久美よりひと回り年下の23歳だった。誠也は大工の修行をする傍ら、バイクでツーリングに出たり、野山でソロキャンプを楽しむのが好きだと言った。体格はきゃしゃだったが、筋肉質でシャツをまくり上げて見せてくれた力こぶや腹筋は、まるで格闘家のように立派で久美を驚かせた。
「じゃあ今度、そこのかつ丼食べ行きましょうよ」
「そうだね。かつ専門店だから、かつ丼以外にも誠也が好きそうな美味しいかつのお料理いっぱいあるよ」
最初はたわもない会話で盛り上がったが、ファミリーレストランへ行ったり映画を観に行ったり、ドライブしたりとプライベートで何度か会ううちに、誠也の母性本能をくすぐるような可愛い仕草に久美は次第に夢中になっていった。
話しをしている最中の早過ぎる相づち、用事もないのに思いつきでかけてくる電話、口の周りをいっぱい汚して食べる仕草、行き交うバイクを目で追う熱い眼差しが可愛かった。
こだわりの髪型である“ツーブロックのアップバングショートのさわやか系”について語る姿や、ポイントであるヘアワックスの揉み方のコツを教わったり、うまく揉み込めないとその日のテンションが下がる誠也も可愛かった。
久美は独身一人暮らしのうえに無趣味だったため、時間を持て余すことが多かったが、誠也が現れたことでその生活は一変した。