シュガーの味/レズビアン・美由紀

年の差レズビアン長編

レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第37話)

 白のスリーブレスTシャツにベージュのチノパンにした。普段通りのシンプルコーデに、髪はいつも通りポニーテール。それにお気に入りのくすんだピンクのリップも普段のままで、ようするに自然でいこうと思った。
 駅前ということもあってそこそこ人通りはあったが、“薗華”が言っていた「サンジェルマン」というパン屋は、表通りから一本裏にあって車も止めやすくて、ここなら目立つしすぐに落ち合えるかなと美由紀は思った。

 待ち合わせ時刻の15分前に到着した。我ながら勘がいいなとほくそ笑んで、首を振って香水がきつ過ぎないかチェックをして、口に手を当てて口臭もチェックした。バックミラーで化粧くずれがないかも一応確認して、何だか浮かれている自分にちょっと笑った。
 窓を開けると、パンの甘くておいしそうな香りが車内に入ってきた。

 薗華は待ち合わせの5分前に到着して、助手席の窓から声をかけてくれた。

「すみません、迎えに来ていただいて。園花です」
「はじめまして」

 美由紀は助手席に乗るように促して車のエンジンをかけた。
 薗華はグレイッシュブラウン系の色の丈の長いチュニックにジーパン姿だった。グレイッシュブラウンは美由紀も好きで、シャツや半袖ニットを持っていた。黒髪を後ろで一つにまとめただけの自然な感じも、キメてくる女性より美由紀はタイプだった。見た目はぱっと見“可も不可もない”普通な感じで、顔はちょっと美由紀好みのナチュラルメイクで3割り増しに見えた。
薗華は乗ってすぐに名前を“園花”とあらためて「よろしくお願いします」と頭を下げてきて、美由紀も「こちらこそ」と返した。
 行く当てはなかったが、美由紀はドライブでもして軽く会話をして、日曜日の気分転換になればいいかなと思っていた。自宅からこの駅まで車で30分程度だったから、付き合うことになっても近いなと思った。何よりのりのりのきゃぴきゃぴした感じがなく、落ち着いた大人の雰囲気に思わずむらっとした。

「これ、さっき買ったんです。サンジェルマンのパン、おいしいから良かったらおうちで食べてみて」

 園花はチョココロネやシュガーデニッシュ、カレーパン、たらこチーズのガーリックパンと他にも一つひとつ袋から出してパンの話をしてくれた。美由紀はお腹が空いていたから、今から一緒に食べようと言うと、園花もうれしそうにそうしようと応えた。美由紀は待ち合わせ時刻には間に合ったが、じつは昨晩ちょっと好きな音楽系の動画を観ながら夜更かしをして、結局3時過ぎまで起きていたせいで、今朝はロールパンにレタスを挟んでかじっただけだった。
 飲み物は途中で見つけたスタバのドライブスルーで美由紀はアイスコーヒー、園花はエスプレッソを調達した。

タイトルとURLをコピーしました