レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第14話)
園花が愛良と出会ったのは3年程前、駅前の英会話スクールで席が隣同士になった時に、園花が何度か話しかけたのがきっかけだった。
スクールの時間帯が同じで、教室に入ると大体いつも愛良がいた。当時は引っ越してきたばかりで園花は友達がいなかったため、気の合う誰かを探していたせいもあった。
愛良は人見知りするほうだと言っていたが、すぐにうち解けて、それから二人でカフェで勉強をしたりショッピングに出かけたりした。
愛良は背が高くて色が白く、きゃしゃな体つきだったが出るとこはしっかり出ているモデル体型で、一緒に歩くと男性の目を引くことがよくあった。でも愛良はそれを鼻にもかけずあくまで地で行く感じが愛良の魅力だと思ったし好印象だった。
いつも前向きで愚痴一つ言わない愛良には何でも気兼ねなく話せたし、いたずらな笑みを浮かべながら迫ってきて、体をどんとぶつけてくる無邪気でなつっこい姿が可愛いかった。
愛良と出会ってしばらくして夫と離婚した園花は、一時的に豊橋の実家に帰ることになって英会話スクールもやめたが、そのせいで愛良と会う機会も次第に減った。愛良も園花の気持ちを悟ってか、それから連絡が途絶えたままになっていた。
「そういえば愛良ちゃん、髪色変えたのね」
以前と同じボブだったが、前より大人びた印象になっていた。
「うん。黒に戻してベージュでハイライト入れてみた」
大人びてもアイスティーのグラスを両手で持ってストローをくわえる姿が愛らしかった。
「そっか、愛良ちゃんも今年で28なのね」
「うん、来月ね。あ、そうそう、それより見てよコレ。欲しかったパーカーとパンツ見て見て」
髪色以外何も変わっていなくて、まるで時間が巻き戻ったような気がして園花はちょっとうれしかった。
園花は会えなくなってからのことを愛良に話した。英会話スクールをやめてから英語の勉強もやめたこと、再婚はもう考えていないこと、もうしばらく一人暮らしをしようと思っていることや最近マッチングアプリを始めたことを話した。
「そういえば愛良ちゃん、彼氏できた?」
前に愛良が腕を絡めたり手をつないできた時に、恋愛対象は女で、男は半年に一回レンタルでいいと言っていたのを思い出して園花は訊いてみた。
「いない。ていうか最近ね、40代くらいの女の人に目が行くのよね。セックスしたいし、激しくてエロいプレイがしたくなる。同世代って夢描き過ぎててつまんないから、私はやっぱり年上かなって。相性合ったらゴールインしてもいいかな、とも思う」
頬づえをつきながら事もなげにそう言う愛良にちょっと面食らったが、園花は相変わらずだなと思った。
その反応にいたずらな表情を浮かべて笑いながらアイスティーのストローをぐるぐるとかき混ぜて、愛良は園花に尋ねてきた。
「マッチングアプリで会えたの? 誰か良さげな相手、見つかったの?」
園花は愛良と出会ったり夫と離婚して少し価値観が変わったことを話した。それから性格でも体でも、何か一つ相性ぴったりなら年や性別はもうどうでもいいかなと言った。
愛良は真顔で頷いてそれを聞いて、空っぽになったアイスティーのグラスを見つめながら、
「私もう買い物終えたし帰るけど、園花さんまだいるの?それとも乗ってく?」
と訊いてきた。園花はちょっと考えて、愛良に送ってもらおうと思った。
駐車場にたどり着くと、愛良の車が以前のままの軽自動車で園花はうれしくなった。
相変わらずピカピカでドアを開けるとかすかに愛良の香水の香りがした。
「園花さんの家、前と一緒?」
「そう、あのマンション。愛良ちゃんもう時間無いんだっけ?」
「あ、わかった! もしかして、ドライブしたいでしょ!?」
それから愛良はドライブに連れ出してくれた。
久しぶりに会って、愛良っていいなと思った。
そういう気持ちになる自分が信じられなかったが、もし愛良と一緒になれるならどんなに“激しくてエロいプレイ”もがんばれそうな気がした。