夫への不満/由美子

年の差レズビアン長編

レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第48話)

「私、由美子の分厚い大陰唇が私大好きなの」
「恥ずかしい、そんなふうに言うのはやめて」

「ね、クリトリス、どうされたいの? 舐められたい? それとも吸われたい?」
「舐められて、吸われたい……」
「じゃあ舐めて、吸ってあげるね」

 店の入口のドアに鍵をかけてカーテンを下し、いつも通りトルソーが並ぶ角と試着室の上、それに事務デスク周辺の照明を落とした。エリーゼの小さな看板と店内のパーテーションで囲んだ接客テーブルのコーナーだけは、防犯のためいつも照明を点けていた。

「乳首の付け根にヘアピンつけてもいい?」
「そんなこと、痛いの嫌。」
「大丈夫よ、痛くないの。乳首のオシャレよ」
「ああっ乳首が、締めつけられて、いいかも」
「乳首だけ拘束されてるみたいでしょう?」

 由美子は夫に、残業があるから食事をして先に寝るように書置きを残してきた。すぐ裏が自宅だったため、夫を店に来させないための配慮は必要だった。
 夫はまるで気づかいができないのに、どうでもいいことにこだわったり、器が小さい面が好きではなかった。こうあるべきだとか、ああすべきだ、こんなことも分からないのか、そういうものだろうとまくし立てるくせに、人に強いるばかりで自分は何もやらなかったし、これが俺の優しさの形だとか、思いやりが理解できないのか、俺の気持ちを分かれとあくまで自己中心的な“おしつけがましい配慮”が目立った。

「これね、さっき由美子さんが夕飯の支度と事務所の片付けしている間に買ってきたの。ディルド」
「いやん、凄い。オチンチンのおもちゃ。大きい……っ」
「よく出来てるでしょう? リアルでしょう? このビロビロの皮、ほら、剥けるの。プレゼント、由美子にあげるね」
「うれしい、ありがとう」

 書置きは、食卓テーブルのよく見える場所に目立つピンク色の紙で大きく書いて置いてきたし一本電話も入れておいたが、果たして効果があるかは、これまでの夫を振り返ると、正直自信がなかった。「言っておいたでしょう」「いや、聞いてない、お前が悪い」というやり取りは100回や200回ではきかないくらいやってきたような気がした。だから店のドアの鍵をかけた。夫はそういう点で信用ならない男だった。
 相手の気持ちが分からない、分かろうとしないからずけずけと人のプライバシーに足を踏み入れてきたし、反論するとお互い様だと言った。不満のすべてをぶつけてきた。由美子は夫には尽くしてきたつもりだった。夫のプライバシーにも干渉しないように、気づかいを忘れたことはなかった。人にルールを強いるのであれば、同じルールを自分も守らなければならないことをわきまえていたから、由美子から夫にルールを提案したことはほとんどなかった。

タイトルとURLをコピーしました