レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第53話)
「ねえ澪、唐突でごめんね。 あのさ、女同士ってどう思う?」
澪は紗弥が何を言わんとしているかがすぐに分かって、その唐突な切り出しに少し戸惑った。
「そんな話、何もこんなお店でしなくても」
「そうだよね。でも澪がこの三日間、何だかよそよそしい印象だったから」
事前にグルメサイトで調べてたどり着いたパスタ屋は、住宅街の四階建てのマンションの一階にあった。
店構えはイタリアの国旗をモチーフにした緑色、白色、赤色の三色を基調にまとめられていて、ひと目見てイタリアンのお店だということは分かったが、店内は食事時にしては空席が目立っていて、クチコミ評価が高かったわりに人が入っていないことに少々不安要素は残った。
「ね、紗弥。おいしいのかな。どうする? 入ってみる?」
「澪にまかせる。口コミとかあてになんないでしょ。好みあるし」
「そうだよね、じゃあ行こっか」
自宅から車で30分程度で手軽に通える美味しいお店を探していた。
和食と中華料理屋はすでに決まったお店があったが、イタリアンはまだ候補がなかった。
二人でパーティーをした日に作ったペスカトーレビアンコのお店の味を試してみようというのが今夜のテーマで、閉店時間の制約と美味しかった場合に備えて、手軽に通えることを条件に加えたらこのお店に決定した。
「いらっしゃいませ」
事前にペスカトーレビアンコがメニューにあることを調べていたから、一品はすでに決まってた。あともう一品を何にするかで迷ったあげく、紗弥が「たっぷり夏野菜のモッツァレラチーズのトマトクリームパスタ」を選んだ。
店内は最近増えつつあるカフェチェーン店を思わせるシンプルな作りで、清潔感があって、所々に飾られているイタリアの国旗がおしゃれに映えていた。
閑静な住宅街にある洋食屋にしてはたしかに人が入っているようにも思えて、味が期待できそうな気がした。価格は少々高めだったが予算内だった。
「店内は落ち着くね。美味しければ私は好きかも」
紗弥の印象も良さそうだった。
紗弥と二人で外食するのは一か月ぶりだった。とくにしない理由はなかったが、お互い外で食べようと言い出さなかったことと、外食のレパートリーが限られてきてどうしてもアレが食べたいというもの以外、家のご飯で十分まかなえたためだった。それに面倒くさいというのも一因にあった。
それからしばらくして、ペスカトーレビアンコとたっぷり夏野菜のモッツァレラチーズのトマトクリームパスタが来た。
ペスカトーレビアンコは具材に大ぶりの有頭エビとアサリ、それにムール貝とカニが入っていた。自家製の方が具材をいっぱい入れたせいで見た目は豪勢だったが、香ばしい海の香りとオリーブオイル、香辛料の香りが引き立って、さすがにプロの逸品だなと思った。
夏野菜パスタは茄子、パプリカ、ズッキーニ、それにオクラ、ミニトマトなど野菜が盛りだくさんで、モッツァレラチーズがむしろ脇役に見えるほどヘルシーなパスタに見えた。