エリーゼ/レズビアン・彩佳

年の差レズビアン長編

レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第5話)

「お尻の下がはみ出てしまうんですよね? ということはサイズが合ってないということなので、ショーツのサイズをLにした方がよいと思いますよ。Lサイズでもそんなに大きくないから」

 電話口の女性は彩佳の質問にていねいに答えてくれた。彩佳はその女性の声をもう少し聞いていたかったが、ふいに今すぐ会ってみたいという衝動にかられて、“筋書き”にはなかったがこう切り出してみた。

「あ、あの、今からお伺いしてもよろしいですか」

 通話を終えてスマホをテーブルに置くと、中谷彩佳は逸る気持ちを抑えながら鏡の前に立ち、いつもの欲情のポーズをとった。

 隣町まで車で15分。
 車でよく走る道のりなのに今日はいつもより長く感じられた。行き交う車や通行人の目がすべて自分に向けられているような気がして、ハンドルを握る手がわずかに震えた。次の赤信号で空を見上げて深呼吸と思ったが、停車すると隣の車の女性と軽く目が合って、頭の中が真っ白になってしまった。

 後ろめたさで挙動不審になる自分が嫌だった。

 いつもの赤信号にもどかしさを覚えた。

 車のナビが目的地到着を告げ、ひと息ついて辺りを見渡すと、田畑に囲まれた小さな住宅街の一角のこじんまりとした事務所のような建物の前にいた。入口に“女性下着 エリーゼ”の看板が見えた。

“そう、ここ。この風景、この建物 ——”

 彩佳は車を下りると、軽い罪悪感を覚えながら事務所の入り口へと向かった。

 ガラスドア越しに色とりどりのブラやショーツをまとったトルソーがいくつも見えた。

 バッグを持ちかえて一息つき、それからドアノブに手をかけた。

「こんにちは、お電話した中谷です」

「いらっしゃいませ」

 彩佳を迎え入れてくれたのは、年配の女性と彩佳と同じくらいの歳の女性だった。実際に会うのは初めてだったが、画像で見た印象よりも話しやすそうで気さくな女性だと思った。

“名前は水川由美子と樋口綾子、だよね、知ってる”

 パーテーションの奥に招かれピンク色のソファに腰かける頃には、もう彩佳のショーツはじっとりと濡れていた。

 パーテーションで仕切られた空間は白とピンクを基調にまとめられていて、ほのかにラベンダーの香りがした。壁に貼られたエリーゼの販促ポスターは、理想のボディラインや補整力の文字が目立った。

 ほどなくして、先ほどの年配の女性が現れて彩佳に名刺を差し出した。

 彩佳は軽くおじぎして、名刺の“水川由美子”の文字を確認しながら受け取った。

“あたり”

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