園花の夜/園花

年の差レズビアン長編

レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第19話)

 園花は愛良と出た久しぶりのドライブを思い出しながら、幸せをかみしめるため息をついた。

 一人暮らしを始めて最初の頃は、職探しや心機一転の部屋の模様替え、断捨離などで毎日何かと慌ただしかったせいもあって気が紛れていたが、月日が経過しても何も変わらず、初めて孤独の意味を知って、誰かといると活発なのに、誰もいないと何もしない自分が、何もできないダメな人間のように思えて、自暴自棄になったことがあった。

 一人で晩酌をしている時や深夜にふと目覚めたときに、例えようのない孤独感に襲われた。

 そんな時はあれほど許せなかった夫の浮気が許せたり、むしろ許すから戻ってきて欲しいとすがる思いで連絡を迷ったこともあった。

 自分が弱い人間だと知って、強くなろうと思ったが、最初の一歩すら踏み出せず怖気ずいている自分が嫌になった。

 実家の両親には元気にやっているとは伝えていたが、前途多難どころかお先真っ暗な気分だった。

 そんな時に愛良と再会できた。

 園花は今日あの場所に行ってよかったと心底思った。

 シルエットで愛良だとすぐに分かったが、空白の時間があったせいで声をかけようか迷った。もし声をかけてすっかり忘れ去られていたら、自分がまたへこむかなと内心少しためらっていた。

 声をかけた自分をちょっと見直した。

 愛良にはとびきりの元気をもらった。ありがとうと何度も言った。

 お酒を飲みながら笑顔がこぼれたのは久しぶりだった。

 気持ちがぐっと軽くなったような気がして、いつもなら気を紛らすために点けるテレビも今夜は不要だった。

 ついさっき愛良とパスタを食べたばかりなのに、もう少し何か食べようかなと思えるくらい食欲も湧いていた。

 園花はソファで横になりながら、もう一本祝杯して、ニュース番組でも流し見しようかと思った。

ピリリッ

 着信はマッチングアプリの通知と広告メールだった。

“ 稼ぎたい暇な女性、いいアルバイト紹介します! キョウヘイ ”

“ 直球ですがタイプです。お茶でもしませんか? カズト ”

“ 年上希望のドMエッチ好き えみり ”

“ 会いたいです。 ケイ ”

“ リアルオナサポ舐め専で近県出張可 サム ”

 園花はマッチングアプリをあまり使いこなせていなかったが、最近サクラを見抜けるようになったのと、ブロック機能がいくつかあることを知って、メッセージは安心してチェックできるようになっていた。ただ気を紛らすために触っていたら、何度か怪しい誘いを受けたことがあったため、基本向こうからアプローチしてくるメッセージは暇つぶしに眺める程度にとどめていた。

 園花はフレンド登録してある“美由紀”からのメッセージを開いた。

“ 人肌恋しい季節になる前に。年下希望 薗華 ”

“ 次の日曜日、カフェでも行きましょう ”

“ 返信いただけてうれしいです。日曜日空いていますのでぜひ ”

 名前は「薗華」にしていた。

 まったくべつの名前も考えたが、真剣に相手探しをしていたから、相手に悪い気がして文字だけそれぞれ変えた。

 自分が送ったメッセージに孤独感が垣間見れてちょっと可笑しかった。すがるような思いだったと自分を思い返した。

 園花にとって美由紀はマッチングアプリで初めて会う相手で、しかも同性だった。

 会うのは楽しみだったが、こういうアプリやネットなどを介して知り合った経験がこれまでただの一回も無かったせいで、まず会えるのかという不安の方が強かった。とりわけ昨日までは、会えたらいいなと思いつつも諦めがほとんどを占めていた。

 でも愛良と会って、あらためて美由紀からメッセージを読み返してみると、少し希望がもてそうな気がした。

 ふと帰宅してそのまま横になっているのを思い出した。

 お腹の辺りが苦しいことに気づいて、ジーパンのボタンを外してファスナーを下した。それからブラジャーのホックを外してカップを持ち上げて軽く緩めた。

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