奴隷にさせられた理由/美智代

年の差レズビアン長編

レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第59話)

「ねえ、今夜、美智代の家に泊まりたい……。私、美智代といっしょにいたい……」

「え?」

 美智代の胸に顔をうずめてそう言う亜沙美の表情はうかがい知れなかったが、少し涙声のようだった。

「そんな突然……、急だよ……」

「明日は仕事? モデルのアポとか、用事あるの?」

「とくには無いけど……。一人だから色々散らかっているし、どうしよう」

「お願い……、片付けもするし。一緒にいたい」

 亜沙美は顔を上げると顔を隠すようにまた抱きついてきた。暗がりだったが、一瞬覗かせた亜沙美の濡れ顔に美智代は言葉を失って、それに頷くしかなくなった。

「分かった。いいよ……。でも、先に片付けだけしたいから、私の言うこと守ってくれる?」

「うん、約束する」

 ドライブ半ばだったがとくに行く当てもなかったし、そのまま地元に引き返すことにした。

 亜沙美は少し元気を取り戻した様子で、途中のどが渇いたといってコンビニエンスストアで買ったアイスコーヒーを手に、鼻歌を歌いながら窓の外を眺めていた。

「亜沙美、家に寄る用事ない?」

「うん、バッグにひと通り入ってるし、足りない分は貸して」

 亜沙美のことが放っておけなくなって泊まることを承諾したものの、美智代の寝室は人に見せられるような状態ではなかった。それは散らかっているとか汚れているという類のことではなかったが、色々と人に見られては困る物を飾ったり、並べたりしていた。

 例えば愛良にもらったアナルプラグやディルドは、入ってすぐに目につく棚にあえて飾るように並べていたし、きれいに束ねて置いてはいたが、枕元には男性向けアダルト雑誌が三冊ほどあった。他にも派手な下着を壁にかけていたり、枕元のすぐ横のラックにはピンクローターやアナルディルドなどが入っていた。

 寝室の収納庫にまとめてしまう以外に方法はなかったが、それでも二、三十分はかかりそうな気がして、問題はその間、亜沙美が大人しくリビングで待っていてくれるかが不安だった。あるいはシャワーでも浴びてもらっているうちにさっと片付けるしかないように思えた。

「お邪魔します」

「亜沙美、リビングでちょっと座ってて。あ、そうそうお酒でも飲む?」

 リビングのソファに座るように促すと、亜沙美は嬉しそうに腰かけて、室内を見回しながら「飲もうか」と笑顔で答えた。

 美智代はとりあえず冷蔵庫から缶ビールとチューハイを取り出してテーブルに並べると、先に目につきやすい棚に並べている、ディルドとアナルプラグを片付けたくて寝室へ向かった。背後から亜沙美は「いっしょに飲まないの?」と尋ねてきたが、「すぐ行くね」とだけ返した。気が気ではなかった。

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