「だ、だめよ。おっぱいは本当のお母さんとしてね」
秀美は言葉を選びながらそう答えたが、弥生はすでにパジャマの胸元のボタンを開けている。
「待って、ねえ……。弥生ちゃん、おっぱいはだめなの」
ボタンを外す手を押しのけて胸元を手のひらで覆いながら秀美が声を上げる。
「どうして……? ねえ、お母さん、おっぱい……」
秀美はパジャマのボタンをかけようとするが弥生もそのすき間に手を差し込んでくる。
「だめよ、ねえ……。ねえったら、ねえ……弥生ちゃん、やよいちゃん……」
だめだと拒んでも弥生の手が這い回ってみるみるボタンが外されていく。
秀美は何度も理性との葛藤を覚えたが、弥生が母親のおっぱいの話を洩らしたときから何となく想像できた展開に、目を閉じて堪えるべきか迷った。
もし伽奈にせがまれたらと妄想してそれをかき消しているうちに、弥生の手はすでにキャミソール越しの乳房を弄り始めている。
「弥生ちゃん、ね、おっぱいやめよ、ねえ……、やっぱりこういうのって——」
秀美は何度も手で制したが、弥生はキャミソールをめくり上げて乳房はすでにこぼれ出ていた。
「待って、ねえ、ああッ」
弥生の唇に乳首を吸われて秀美は思わず顔をしかめる。
その唇にいやらしさは感じられなかったが、敏感な乳首を娘でない女性に吸われてしまうとそんなことまで意識せずにはいられない。
「ああ、ねえっやよいちゃん……、だめって、おっぱいだめなの……ああッ」
弥生は乳首をくわえて何度も何度も吸い上げる。
秀美はすぐに変な気分に襲われて首をふって抗ったが、弥生の唇が乳首から離れることはなかった。
お母さんと呼ばれたからといって弥生が母親としている行為に応じてよいものかと思ったし、愛娘のように可愛いといってもこの状況の整合性をはかることなど今の秀美には難しすぎた。
「だめよ、ねえ。お願い……ねえ、弥生ちゃん……、ああッ」
動揺して思うように動かない体に半ば呆然としていると、次第に舌の感触がまじり始めて秀美はますます混乱する。
子供が甘えているのか、それともいやらしい愛撫なのかその境界線が気になった。
男なら力いっぱい突き飛ばすが、弥生は愛娘同然で心底可愛かった。
「やめて、ねえ……、おかしくなる、ねえ……おばさん、もうだめ」
境目が分からず、何が正しくてどこからが過ちなのか区別できないまま、一度受け入れた母親という役割を放棄する無責任さに嫌悪感を覚えつつも距離をとりたかった。
「お母さん、大好き……」