官能小説(短編)/レズな二人の開かない蓋と愛の物語
出会い系サイトの場合、運命的な出会いを求めてしまうとハードルがぐんと上がる。
そもそも男は掃いて捨てるほど出会えても女同士となるとそうはいかない。
波長が合うように見えて実は猫をかぶっていることもあるし、演じることに夢中でリアルが置き去りになっている女性も多い。
何度か失敗をくり返すうちに変に相手の裏を読んでしまったり、警戒するあまり会話の流れが水臭くなってしまう、また猜疑心にもたついているうちに機会を逃してしまうことだってある。
でも、綾乃(あやの)との出会いは運命的だった——
美海(みなみ)が綾乃の家に移り住んで三年が経つ。
出会い系チャットで知り合って意気投合し、当時アルバイトだった美海が県をまたいで引っ越して来た。
都会と比べると何もない田舎だったが、住んでみて空気がきれいで四季折々の表情を見せる自然に囲まれた小さな町が自分に合っていることに気づいた。
綾乃は目鼻立ちがくっきりとした美形でお気に入りの栗色の外ハネミディアムがよく似合う三つ年上の33歳。
小さな工房兼住居をもっていて天然石やパワーストーンのアクセサリーを売って生計を立てている。
美海が一目惚れして同棲を決意した。
綾乃は包容力があって優しくて、四六時中かまってくれる。
休日のデートはもちろん、買い物や家事なども仲良く二人でこなせて幸せいっぱいだった。
「ねえ、綾乃。まだ?」
美海は何度目かの声をかけたが綾乃はストーブの前で座り込んでミニ電マの乾電池を交換するのに悪戦苦闘していて気づかない。
ベッドに入る美海のすぐ横にはすでに手枷やディルド、ペニバンなどが準備されている。
「ねえ、綾乃、もう電マ無しでもいいよ」
綾乃は背中を向けたままクスっと笑うと
「美海さ、もうショーツだけになってる?」
と訊いてきた。
ついさっきパジャマを脱いで待つように言われたため、美海はすでにショーツ一枚の姿になっている。
二人で夕食を食べている時、綾乃が
「今夜はたっぷり苛めてあげる」
と言ったから、ショーツはエッチをするときに時々穿かされるナイロン素材の透け透けTバックを穿いていて準備はできていた。
「うん、なってる」
返事をすると枕に顔を埋めて綾乃を待った。
綾乃はどちらかというとSで、Mの美海とは体の相性はいい。
チャットの初日にその後まさか付き合うことになるなんて夢にも思わず、本能のままに欲求、性感帯やツボ、またオナニーについて赤裸々につづったせいか最初のセックスから相性の良さを感じた。
お互いその日の気分でエッチな相手を探したり本気の恋を探していたが、何度も話すうちに途中であべこべになって気づけば本命候補になっていた。