ローター遊び/レズビアン・愛良

年の差レズビアン長編

レズビアン官能小説長編「年の差レズビアン・ディープ・ラブ」(第7話)

 ローターは、ショーツによって位置がズレたり落ちそうになったりしたが、今日はベンチから少し歩いたら安定して、今はクリトリスのお気に入りの位置にとどまっていた。

 リモコンはポケットに忍ばせてあるから強弱はいつでも変えられた。

 遠隔ローターをショーツに入れて外出する遊びは、愛良にかぎっては特別なことではなかった。

 エッチな気分になることがよくあったし、気持ちよくなりたい時にポケットに忍ばせたリモコンのスイッチを入れるだけで感じられた。

 アプリで知り合った“M女”にもすすめたし、互いのリモコンを交換して一緒に街を出歩いたこともよくあった。

 遠隔ローターの存在は、学生時代に観たアダルト動画で初めて知ったが、他にもやってみたいプレイやエッチは沢山あった。

 以前、露出好きの女の子が、公園の暗がりのベンチで全裸になってオナニー中継をする動画をどこかのサイトで観たことがあった。さすがに全裸は真似出来ないと思ったが、愛良はそういうプレイにも興味があった。見られる快感は強烈だけど、欲望丸出しでそれを見るためだけに立ち止まる男たちの姿にも興奮を覚えた。

 人目があるとチラ見しかできない男が、人がいないのをいいことにガン見してくる、その豹変ぶりに男のいやらしさを感じた。さっきも雑貨店の前を歩いていたら、背広を着た30代くらいの男に胸元をチラ見されたが、仮にこのショッピングモールのど真ん中で突然全裸になっても、大半の男はきっとチラ見する程度で、冷ややかな表情まで作って通り過ぎるのだろうけど、周囲に人目が無くなった途端にガン見してくるのが男だと思った。

 人目の有る無しだけであからさまに目つきや態度を変える男を愛良は“キモ男”と呼んでいたが、キモ男のほうが興奮した。

 ただキモ男はルックスにかかわらずセックスの対象外で、そもそも論として変態である以前のところで分かり合えない気がした。変態やフェチ男は別に嫌いではなかった。

 ローター遊びはM女には好評だった。アプリやメール、電話であらかじめそういうプレイをしようと話しておいて愛良がオススメの極小ローターを買って渡した。

 男はそういうプレイでただ“女を困らせて喜ぶ”のだろうけど、愛良は顔を見つめ合いながら、前戯ができないような例えばカフェや電車の中、腕を組んで歩いているのに“物足りないとき”などにお互いスイッチを入れて感じ合った。互いの意思を敏感なクリトリスに「直接伝えられる」感覚が好きだった。

 もちろん困らせて遊ぶこともあった。カフェでグラス越しに目を見つめ合っていると、突然エッチのスイッチが入ってしまうような女の子は、トイレの個室まで手を引いて行って、少し荒っぽくローターを押し込んでその可愛い反応を楽しんだ。我慢できずにすがりついてくる手を解き、バッグから取り出したローターに顔の前でキスをして、それを潤ませる割れ目に少し強引に押し入れて、腕を組んでまた街を歩いたりした。

「ね、クリにちゃんと当たってる?」
「うんっ うんっ」

 愛良にとってローターの刺激はお仕置きではなかったが、それをお仕置きと捉えて感じるMの女の子には、エッチな体験談やオナニーのこと、今日これからしたいことなどを尋ねて、理性と性欲の間を意識がぴょんぴょん行き来する様子を眺めるのが好きだった。顔を紅潮させて、苦悶の表情を浮かべながら理性と葛藤する姿に萌えた。可愛かった。

ピピッ

 エスカレーターに乗っていたらふと背後で音がしてふり返ると、二段下にワイシャツを着た40代くらいの男がスマホを握りしめて立っていた。顔は背けていたが、その目が一瞬キョロキョロと宙を泳いだのが見えてキモ男かなと思った。エスカレーターがガラ空きなのに近すぎる距離に違和感を覚えた。

 愛良も街ですれ違う大きなオッパイの女性や魅力的なお尻、露出多めのファッションの女の子に目を奪われて胸が躍ったから、興味を抱く気持ちは分かったが、不特定多数の女性にカメラを向けたり、撮って集めるコレクター、まるで戦利品ようにセックスを記録しようとする遊び要素のないハメ撮り男は、愛良は大嫌いだった。後ろの男がキモ男とは限らないが、キモ男臭が感じられた。

 エスカレーターを降りるとショッピングモールを半周くらいしていた。

「あれ、愛良ちゃんじゃない?」

 不意に声をかけられて振り返ると、英会話スクールでよく一緒に勉強した女の人が立っていた。名前がすぐに出てこなかった。

「イシグレです」

 固まる愛良に女性は間髪入れずに笑顔で名乗った。

「あ、園花さん!」

 愛良は石榑園花の名前を思い出してすぐに笑顔で応えた。

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