「はいまだできます! 乃亜様のためなら」
「じゃあ、もう一回。両側がいいの。ミユキの舌で逝きたいな、乃亜様」
「はい!」
ふいに来た。舌使いなのか場所なのか、舌の相性なのかは不明だが、乃亜は息が上がりかけた。
「んァ……っ そ、そこ、そこよ……ミユキ……」
「ん、ん……?」
ミユキは“その場所”を外さないように、そのままの舐め方をキープしようとがんばっているようだった。
乃亜はその感触に美由紀と同じクンニを覚えていた。
自分の息が上がり始めているのが分かった。
乃亜は敏感な弱点を探り当てられ、容赦なく責められるという思いに久しぶりに浸れている気がした。
「ぁん……そこ……そのまま、いいわ……凄くぃい……」
「ん、ん……ん!」
「あ……っぁ そう、そこ……あぁ……そのまま……、はぁハァ……そこそこ……今みたいにして……あぁぁ……いい、いィ……いく、イキそう……あぁんっ……もっと……ねえ、そこ……いい、いい、イイ……逝く、イクっいくっ……あぁぁァァァん……ああぁぁぁ……!!!」
それは来た。
乃亜はすぐに強烈に上りつめる感覚に襲われて、何かにすがるように身もだえしながら果てた。
気づくと体に半身を乗せて覗き込んでいるミユキと目が合った。
「乃亜様、大丈夫ですか?」
乃亜が身を起こすと、逝って3、4分位寝ていたとミユキは言った。
乃亜はミユキに半年ぶりにクンニだけで逝けたことをそのまま話して、ご褒美は何がいいかと尋ねると、ミユキは乃亜と恋人プレイがしたいと身をすり寄せてきた。
ミユキの打ち合わせによると、激しく力強く華麗に抱かれたいということだった。乃亜は苦笑したが、乃亜様にしかできないと目を輝かせた。
それから乃亜はミユキを派手に押し倒し、めいっぱいミユキを愛でるという役を演じた。
「ありがとうございました!もう私、乃亜様のこと本当に愛しちゃいそうで自分が怖いです」
ミユキはご満悦の様子だった。
それからすぐに終了時刻10分前のアラームが鳴って、ミユキは支度して名残惜しそうに部屋を出ていった。
部屋を出るときの約束は乃亜様が抱きかかえてキスをするという設定だったが、ミユキが少し涙目になっていた。
乃亜はまた指名するとなだめると、乃亜様の弱点を知っているのは、自分とその美由紀さんだけだと念押しをされて吹き出した。
駐車場に出ると外はうだるような暑さだった。
ふとタイヤのすぐ横に“諦めているセミ”を見つけた。
乃亜はそれを摘まんで植込みの木につけると空を見上げてふとため息をついた。