「乃亜は好き、大好きなんだ。今も何も変わらず」
乃亜はもう抑えがきかない自分がいた。美由紀の言葉を聞いてすぐ、込み上げてくる何かが理解はできなかったが、美由紀の口から「好きだ、大好きだ」と聞いて、今の自分が抑えがきくわけがないと思った。手が震えた。来てよかったと思った。美由紀の言葉の続きはもう聞きたくなかった。もう十分だった。美由紀の気持ちの断片、たった一片にでも好きという気持ちが残されているなら許されると思った。美由紀なら許してくれる、またよりが戻ると思った。甘えもあったが、衝動は止められなかった。
乃亜は堪えきれずに美由紀の胸に飛び込んで、キスをした。
美由紀は一瞬、びっくりした表情を見せたが、すぐに肩を抱いてキスしてくれた。
美由紀の唇の感触が懐かしかった。大好きな感触だった。美由紀の腕の中も大好きだった。
乃亜は美由紀に抱かれながら、苦手な言葉を全部吐き出して、すぐによりを戻そうと思った。
「あたし、さ……美由紀じゃなきゃ、だめだ、大好き、だよ……」
美由紀の顔を見上げながら、その目を見つめながら唇に触れながら、思いを一生懸命言葉につづろうとした。なかなか言葉が出てこなかった。
「美由紀とね、ずっといっしょにいたいの……誰にも渡したくない…ひとり占めしたい。」
「勝手って、分かってる、だけどさ……でも、もう我慢できない、美由紀のこと、考えすぎて……もうさ」
「より戻したい…もう耐えられないよ、あたし……、美由紀のこと好きすぎて、好きなの」
美由紀はちょっと吹き出して、それから肩を揺さぶりながら言った。
「相変わらず勝手だな。やっと以前の乃亜にちょっと戻ったかな」
乃亜はもうすがるしかなかった。お願いして甘えて、すがるしかなかった。美由紀が受け入れてくれるまで甘えてねだるしかなかった。涙が込み上げてきて声も変だし、もう言葉が続かなかった。
「美由紀……、より戻したいの……、エッチしたいの。ねえ、して。美由紀の家でしよ。すぐしたい。しよ、今すぐがいい。しよ、ねえ、お願い、今がいい」
美由紀は両手で髪をかき上げると、髪を結わき直してため息をついた。それからスマホを取り出して時計を見ていた。
乃亜はその美由紀の胸にしがみついて、首筋にキスをした。
「乃亜のことは好き。でも ——」
乃亜はすぐに美由紀の唇にキスをして“その先”を封じた。両手をその頬に添えて首を振った。何度も何度も首を振った。
美由紀は乃亜の表情を見つめた。それから言葉を続けた。
「乃亜が気持ちの整理つかないと、上手くやれるかどうかなって」
「うまくやれるから。より戻したい。ねえ、エッチしよ、すぐしよ。すぐしたい、すぐがいい。今しよ、ねえ」
「二人とも声大きいからウチはだめ。後ろでどう?」
美由紀はそういうと後部座席を指さした。
乃亜は涙があふれ出てきて、美由紀の胸にすがりつくと急いでキスをした。